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犬猫の混合ワクチン正しく理解して適切に接種する 最終回

こんにちは。東京都町田市のトリマー兼手作り犬猫ごはん講座講師の橋本なみです。もうすぐ9月なのに厳しい残暑が続いていますね。早く安心してわんこのお散歩に行ける日々が待ち遠しいですね。

さて、混合ワクチンシリーズは今回で最終回になります。前回③では、ワクチンの免疫が持続しているかを知る目安となる抗体検査についてや、私が感じる矛盾点、効果のないワクチン接種や不必要なワクチン接種についてお話ししました。

では続きです。

混合ワクチンへの課題

これはあくまでも私個人の意見と思って読んでいただけると幸いです。

①犬のコアワクチン(3種)のみが導入されること。

②単体のワクチンが受けられること。

です。

①について。

日本では犬の混合ワクチンは最低5種混合ワクチンであり、コアワクチン(3種)だけでなくノンコアワクチンも含まれます。感染すると重篤な症状や、死に繋がる可能性のある感染症はコアワクチンの3種ですが、日本には最低5種のワクチンしかありません。5種混合ワクチンに含まれる犬アデノウイルス感染症はノンコアワクチンですが、コアワクチンに含まれる犬伝染性肝炎で同時に予防できるものです。

しかし5種混合ワクチンに含まれる犬パラインフルエンザはコアワクチンではなくノンコアワクチンであり、例えるなら人のインフルエンザワクチンのようなものでしょう。犬のパラインフルエンザも人のインフルエンザも集団風邪のようなものです。持病などにより、免疫力が低下しているような状態であれば、感染には気を付けなければいけないかもしれませんが、選択できるワクチンであっても良いのではないかと思います。

②について。混合ワクチンはそれぞれの感染症に対する単体のワクチンがないため、抗体検査で抗体価が陰性となったワクチンのみを接種したくても、最低5種混合ワクチンを接種するしか方法がありません。(病院に聞いてみれば単体で打ってくれるところもあるかましれません)

抗体価があるワクチンまでまた接種する負担をなくすために、単体のワクチンが接種できるようになってほしいと強く感じています。

また、混合ワクチンに含まれるレストスピラ症は免疫持続期間が約半年と短いため(個体差あり)、接種したい場合7種以上の混合ワクチンを接種する必要があります。WSAVAのガイドラインでも明記されている通り、多くの個体でコアワクチンは3年よりはるかに長い期間免疫が持続します。しかし、半年前後しか免疫持続期間がないレストスピラに合わせると、毎年の接種が必要になってしまいます。(レストスピラワクチンが効果があることを前提とした場合の接種ですが。詳細は③にて。)ですからレストスピラワクチンも単体で接種できることが非常に望ましいと思います。(レストスピラ症も単体で接種できるところが探せばあるかもしれません)

「猫」猫の場合は最低3種ですが、猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス)以外の猫カリシウイルスと猫ウイルス性鼻気管炎のワクチンは、犬のコアワクチンほどは強固な感染予防効果は期待すべきではないとWSAVAには明記されています。感染リスクのある環境下にいる猫(屋外に出る子や保護施設にいる子)の場合は、毎年のワクチン接種の方が安心かもしれませんが、感染防御効果に過度に期待はすべきではないでしょう。

猫カリシウイルス、猫ウイルス性鼻気管炎の免疫は接種後3ヶ月以内に最も強くなるため、ペットホテルの利用などでそう言った感染症が心配であればホテル利用の直前に接種した方が良いのです。完全室内猫の場合の感染リスクはかなり低いと思いますが、飼い主様が保護猫、野良猫などと接触する場合などは、飼い主様が接種の判断を決めたら良いと思います。

猫の混合ワクチンは犬より少ない3種からになりますが、それぞれの生活環境や個体の免疫、飼い主様が望む選択肢を広げるという点からすると、単体のワクチンがあった方が理想的ではあると思います。

混合ワクチンの接種を避けた方が良い可能性のある犬猫

狂犬病ワクチンの記事でもお話しましたが、ワクチンの添付文書には接種に慎重にならなければいけない対象、つまりその子の状態次第で接種しない方が良いかもしれない個体の対象が記されています。一部ではありますが、

●高齢のもの

●疾病治療中

●他の薬剤を投与されているもの

●一年以内にてんかん様発作を呈したことが明らかなもの

●発熱、咳、下痢、重度の皮膚疾患などの臨床異常が認められるもの

などです。これらに核当するけれど、ペット施設の利用などにあたり接種している子も多くいると思います。このような子は、獣医さんと相談して接種がふさわしいかどうか、またふさわしくない場合、猶予証明書を書いてもらうと良いと思います。ペット施設側にも猶予証明書で利用できるか訪ねてみてくださいね。私は2024年に自宅トリミングサロンを開業予定ですが、自宅でこじんまりとできるサロンだからこそ、ワクチンの接種を検討すべき犬たちを受け入れらるサロンにしたいと思っています。

猶予証明書というものは余程の高齢や重い持病でない限り、飼い主様が良かれと接種のために動物病院に行けば、接種は行われることが多いでしょう。獣医さんは飼い主様が接種に来られたから打つわけであり、私たち飼い主が賢くなり、ワクチン接種の必要性があるか又は接種を検討すべきか、ということを理解ておいた方が良いと思います。

トリミングサロン、ペットホテル、ドッグランなどのペット施設の利用にあたり、毎年の接種証明書を提示しなければいけない所も多いです。もし最低限のワクチン接種で施設を利用したい場合は施設側に「抗体検査」で抗体価があれば毎年の接種ではなくても利用できるか聞くと良いと思います。もし利用ができたとしても、犬パラインフルエンザに関しては抗体価は分からないことは踏まえておくと良いでしょう。

抗体価と免疫は別

これはどんなワクチンにも言えることであり、非常に大事なことなのですが、抗体価があればその感染症が必ず防御できる訳ではありません。もちろんワクチンは研究・実験を繰り返し開発されているものですからワクチンにより危険な感染症を防御できることも大いにあると思いますが、過度にワクチンに期待することなく、普段から質の良いごはんを食べしっかりと運動ができ、また生活環境を整えたりストレスのない生活を犬猫が送れるよう、私たち飼い主がサポートしてあげることはとても大事です。それは感染症から守るだけでなく、免疫力をあげて様々な病気から身を守り健康を維持する上ではとても大事なことなのです。

まとめ

混合ワクチンとは、から始まり、適切な接種間隔、ワクチンに懸念される副作用、抗体検査、意味のないワクチン接種、接種に慎重になるべき個体、私が思うワクチンへの課題など長々とお話してきました。

それは、飼い主様が愛する我が子に過剰・不必要なワクチン接種を避け、本当に必要なワクチンを必要な間隔で打つためのきっかけになることが、この記事を書いた目的です。良かれと思って毎年接種してきたワクチンが過剰であったり、万が一体に負担・害となってしまえばそれは飼い主様の本望ではありませんよね。混合ワクチンは研究を重ねて開発されているものですから、その効果により恩恵を受けている個体もいることと思います。けして混合ワクチンを否定するわけではなく、正しく理解して適切に接種が行われる社会になってほしいのです。

ただ、ワクチンへの課題でもお話ししたように、単体のワクチンがないためどうしても理想的な接種は難しいのは現状かと思います。それでも、適切な接種間隔、抗体検査の存在や意味のないワクチン接種の防ぎ方、接種を検討した方が良い事例、猶予証明書の存在などを知ることで、飼い主様には「選択」する術を持って欲しいと思っています。

飼い主様の混合ワクチンへの適切な理解によって初めて、最善の接種方法が考えられると思います。それにより、愛犬愛猫の健康をサポートしてほしいと思うのです。もちろん大切なのはワクチンを接種するかどうかだけでなく、普段のコミュニケーションや食事、運動など様々な要素が健康に関わってきます。ですから、より広い観点から犬猫の健康のサポートができるよう、今回は混合ワクチンをテーマにお話ししてきました。

一人でも多くの飼い主様に届けば嬉しいです。4回に渡る連載をお読みくださりありがとうございました💛

みなさま、体調にはお気をつけてお過ごしくださいね☺