こんにちは。東京都町田市のトリマー兼犬猫ごはん講座講師の橋本なみです。
もうすぐ今年も一年が終わりますね。毎年この時期になると、時が経つ早さをしみじみと実感します。
さて、今日は「腸の話と適切な腸ケア」というテーマで、お話ししたいと思います。
今や人だけでなく犬猫にも腸のケアに注目が集まっています。人では昔から「ヨーグルトは腸に良い」とよく言われていますよね。数年前から「生きた乳酸菌が腸に届く」という言葉を良く目にするようになりましたが、人では昔も今も乳酸菌が腸に良いと言われていますよね。
犬猫がより私たちの生活に身近になった今、犬猫への腸ケアのための製品も沢山あります。乳酸菌、オリゴ糖、プロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクス、バイオジェニックス、などなど、様々な製品が犬猫の腸ケアとして世に出ています。
なぜそこまで腸のケアが注目されるか、その一つがやはり腸管免疫に由来していることと思います。
腸管免疫とは、
「免疫細胞の7割が腸に集まり、病原菌やウイルスなどの外敵から身を守る腸の免疫機能」
のことです。胃酸で死にきれなかった病原菌やウイルスは小腸の腸壁にあるパイエル板に取り込まれます。
パイエル板は樹状細胞、T細胞、B細胞などの免疫細胞が集まり、病原菌やウイルスを見つけると免疫物質である抗体(IgA)を出し病原菌やウイルスをやっつけます。この働きが「腸管免疫」なのですね。
腸管免疫がしっかり働くかどうかが腸内環境の良し悪しに左右されてきます。つまり、簡単に言うと、
腸内環境が良いと病原菌やウイルスに負けない
ということなのです。昨今話題の【コロナウイルス】にも同じことが言えます。例えウイルスが体に入ってきたとしても腸管免疫がしっかり働いてウイルスをやっつけてくれれば発症はしないのですね。
腸内環境を整えることは様々な外敵から体の中を守ります。体の免疫細胞の7割が腸に集まるということは、腸が大きく体の免疫を担っているということなのです。
では、整った腸内環境とは?
腸内細菌がバランスよく働いている腸
の状態です。
腸には人では100兆の腸内細菌がいます。犬や猫ではまだ詳しい数は分かっていませんが、桁違いの腸内細菌が犬や猫の腸にもいることには変わりありません。
この無数の腸内細菌は3種類に分けられます。体に良い影響を与える善玉菌、悪い影響を与える悪玉菌、そのどちらでもない日和見菌です。
善玉菌はビフィズス菌、乳酸菌、フェーカリス菌、アシドフィルス菌などです。悪玉菌はウェルシュ菌、カンピロバクター、大腸菌などです。日和見菌はクロストリジウムなどです。
善玉菌は腸の中で発酵を行います。発酵がどのように良いかと言うと、
腸内細菌が食物繊維を食べて発酵すると「短鎖脂肪酸」が作り出される。
⇓
短鎖脂肪酸が大腸の粘膜から吸収されると腸粘膜の分泌が促され、腸粘膜のバリア機能が高まる。
⇓
丈夫な腸粘膜は病原体、アレルゲンを体の中へ入れない=免疫の強い体へと繋がる
ということなのですね。
一方腸の悪玉菌は腐敗を起こします。悪玉菌が増えると
腸の動きが阻害され食べたものが吸収されにくくなる。
⇓
消化されなかった食べものが悪玉菌によって腐敗が起こる。
⇓
腐敗した老廃物からは、細菌や毒素、発ガン性物質などの有害物質が発生し、腸内だけでなく全身の臓器などに悪影響を及ぼす。
悪玉菌が増えると食べかすのタンパク質を分解し、インドールや硫黄化合物などのガスを発生します。臭いおならは要注意なのです。
こんな話を聞くと、愛犬愛猫の腸も善玉菌を増やしたいと思いますよね。
健康な腸内では善玉菌:日和見菌:悪玉菌=2:7:1というバランスが保たれています。
もし仮に悪玉菌が全くいなくなるとしたら善玉菌は働かなくなってしまいます。整った腸内環境にすることはこの腸内細菌のバランスが大事なのです。
日和見菌は善玉菌、悪玉菌どちらにも味方をする菌です。日和見菌は善玉菌が優位な状態であれば善玉菌の働きに味方をし、悪玉菌が増殖すると悪玉菌の働きに味方をするのです。
人も犬も猫も毎日腸内細菌のバランスは変わっています。善玉菌を増やし善玉菌が優勢に働けば日和見菌も善玉菌の味方をして働くのですね。
ここまでで、腸の働きについて何となく分かりましたか?次回はじゃあどんな腸のケアがあるの?ということを少しお話ししたいと思います。
今日もお読みくださりありがとうございました☺