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持病があってもワクチンは必要?

こんにちは。東京都町田市のトリマー兼犬猫ごはん講座講師の橋本なみです。

3日後にアニマルホメオパスさんを対象にスキンケアの講座をさせていただくことになり、その準備に追われ久々のブログとなってしまいました💦

さて、今日は先日あった、私の中で嬉しかった出来事についてお話ししたいと思います。先日、仕事とは別で保護犬のシャンプーに携わらせていただく機会がありました。その時に、預かりボランティアさんとお話しをしていた時に聞いたお話が、私にとっては何だかとても嬉しく感じたのですね。

その預かりボランティアさんは、ご自身でも飼われている犬がいるそうなのですが、その子はてんかんを持っているらしいのです。かかりつけ獣医さんからは、てんかんがあるからうちでは狂犬病のワクチンはしません、とお話を受け、もうずっと狂犬病のワクチンは打ってないそうなのです。混合ワクチンに関しては、預かりボランティアをされているということもあり、里親さんが見つかるまで保護犬を預かることから接種されているそうなのですが、狂犬病ワクチンに関しては獣医さんが接種しなくても良いとおっしゃってくださったそうなのですね。

これを聞いた時に、そんな獣医さんがいらっしゃったのだと、私はすごく嬉しかったのです。その獣医さんは私が住む地域の獣医さんでした。

私は過去のブログでも、狂犬病ワクチンや、混合ワクチンについてお話をしています。狂犬病ワクチンについてはこちらから。

混合ワクチンに関しては全四回の記事でまとめています。



私がなぜこのようにワクチンについて取り上げているかには、理由があります。狂犬病ワクチンにしても混合ワクチンにしても、犬や猫のワクチンというものは「飼い主様の選択」によって愛犬や愛猫に打たせるものですよね。だからこそ、飼い主様がワクチンとはどういうものなのかを理解した上で、接種するかしないか選択できるきっかけとなればと思っているからなのです。

狂犬病ワクチンは法律で接種が義務付けられています。一方混合ワクチンは任意による接種になります。どちらもワクチンの添付文書にはこのような記載があります。

次のいずれかに核当すると認められる場合は、本剤の有効性及び安全性を十分に勘案した上で、注射の可否を慎重に判断すること。

・発熱、下痢、重度の皮膚疾患など臨床症状が認められるもの。

・疾病の治療を継続中のもの又は治療後間もないもの。

・交配後間もないもの、分娩間際のもの又は分娩直後のもの。

・明らかな栄養障害があるもの。

・高齢なもの。

・一年以内にてんかん様発作を示したもの。

・他の薬剤投与、導入又は移動機関がないもの。

・飼い主の制止によっても沈静化が認められず、強度の興奮状態にあるもの。

接種に慎重になるべき個体として

「疾病の治療を継続中のもの又は治療後間もないもの。

「高齢なもの。」

「一年以内にてんかん様発作を示したもの。」

とありますが、このような子でも接種をしている子は沢山います。高齢かつ、疾病治療中の子や、てんかんを持っている子もワクチン証明が必要な施設を利用する場合には、狂犬病ワクチンも混合ワクチンも毎年接種している場合がほとんどのように見受けられます。

接種させること自体は飼い主様の選択ですし、ワクチンを実施するのは動物病院の考え方も色々あるのだと思います。混合ワクチンに関しては、抗体価が一般的に3年よりも長く持続するものも含まれますが、そうでないものも一部あります。(詳しくは上記のブログにて。)免疫力が十分でない子犬や仔猫は飼育環境によっては感染しうる病気もあります。

ただ、狂犬病に関しては日本はもう60年以上発生していない「清浄国」なのです。万が一狂犬病が発生してしまうとしたら、海外からの輸入動物ということになりますが、空港の動物検疫所にて厳しい審査があります。日本で狂犬病が発生する確率は極めて低いのです。

私個人の想いとしては、高齢でなおかつ持病があるような子にも、本当に本当に狂犬病ワクチンの接種が必要なのか・・というところを、動物に携わるすべての方が改めて考えるきっかけがあればと思っているのです。

私たちが昔学校で集団予防接種をした時には必ず熱を計りましたよね。体調が良いことを前提に接種は行われるものでしたよね。

それは犬や猫に接種されるワクチンも同じだと思うのです。感染リスクが極めて低い狂犬病のワクチンを高齢や持病のある子にも接種させることは、少なからず体には負担になります。(これも上記の過去記事に詳しく書いてあります)

狂犬病ワクチンは確かに法律では接種義務があります。ですが、その前に個々の動物の健康状態を見て適切に接種の可否を判断される動物社会であってほしいと私は願っています。

狂犬病ワクチンは人に感染しないことが目的なのです。万が一日本に狂犬病が入ってきたとしても、感染する可能性が高いのは犬や猫ではなく、動物を扱う側の人なのです。人が感染しないことが目的であれば、今の日本の状況下なら、本来は人が狂犬病ワクチンを打った方がずっと人への感染は防ぐことができるのではと感じています。

法律という枠に縛られることなく、今回お話で知った獣医さんのように「目の前の子自身」を見て、持病があれば接種を見合わせる提案をしてくださる獣医さんが一人でもいてくれることで、初めて「持病があれば接種しなくても良い場合もある」ということを知る飼い主様も沢山いることでしょう。

持病があればワクチンの接種が必ず不要であるということではなく、発生状況を考えた時に、感染リスクよりもワクチンを接種することでの体への負担のリスクが高いということがもっと一般的に理解され、適切に接種が行われる社会であってほしいというのが私の想いなのです。

そして、私がこのような内容を発信しているのは、ワクチンの接種を選択するのは飼い主様だからこそ、もし持病や高齢であるにも関わらず毎年のワクチンが当たり前だという認識があるとしたら、目の前の子を見て本当に必要かどうか考えるきっかけになればという想いもあるからなのです。

私は今は勤め人の立場であり、毎年のワクチン証明書を提示していただかなければいけない立場なので、色々と葛藤することはあります。私のような考えの人は少数派であることも感じているので、なかな伝えられないジレンマもありますし、獣医ではない私が接種の見合わせを相談されてみてはと提案してみても、飼い主様には届かないこともあります。

勤め人だからということを言い訳にして、なかなか実際に伝えられていない自分も感じています。だけど、今日この投稿を書いたことを機に私は私らしく、伝えられることは伝えていこうと、何だか自分で自分の尻を叩くきっかけになっていると感じています。

今愛犬愛猫が健康であり、毎年ワクチンを接種している飼い主様も、いつか必ず訪れる高齢期が来た時に、少し考えるきっかけにもなれば幸いです。

さて、今週も忙しい日々ですが、頑張ってまいります!!

いつもお読みくださりありがとうございます☺