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肥満になると体の中では何が起こる?

こんにちは。東京都町田市のトリマー兼手作り犬猫ごはん講師の橋本なみです。

今日は、「肥満になると体の中では何が起こる?」というテーマでお話ししていきたいと思います。

みなさんの愛犬愛猫さんの体型は、いかがでしょうか?ご自身で愛犬愛猫の体型について適正体型、肥満気味、肥満体型、痩せ気味などしっかり把握できているでしょうか?

愛犬愛猫の体型を把握する目安となるボディコンディションスコアを載せますので、横から見た図、上から見た図を参考にしてもらえればと思います。

まずは犬のボディコンディションスコアから。

そして、以下が猫のボディコンディションスコアになります。

BSC3が理想的な体型になります。横から見た時にお腹がたるんでいないか、上から見た時にほどよいくびれがあるか、愛犬愛猫さんで確認されてみてください。

過去に日本で行われた調査では、犬猫共にBSC4~BSC5の割合が半数近くを占めています。実際のところ、私が見た感覚としては犬は半数はいかないくらい、猫に関しては半数以上が肥満気味~肥満傾向のように感じています。

なぜそれだけ肥満気味~肥満傾向が多いのでしょうか?

大きく四つの要素があると思います。

①食べる量

②食べるごはんの内容

③代謝の問題

④ホルモンバランスの影響

運動量ももちろん関係しますし、特に猫さんの場合は完全室内飼いがほとんどかと思うので、相対的にごはんの量・内容と運動量が見合っていないことも多いように思います。

①食べる量について

愛犬愛猫さんのごはんの量はどうやって決めていますか?フードを使われている場合、多くの方がフードのパッケージに記載の給餌量を参考にするかと思います。

給餌量というのは、この体重であればこれくらい食べることで体重あたりに必要な栄養量が満たせるという基準かと思います。まずはその基準量をあげるのはごく普通の行程かと思います。

フードだけでは食べてくれないという理由でウェットフードなどを足される方も多いですが、ウェットフードは水分量は多いものの、全体量が過剰になりがちな場合もあります。

そして何よりも、フードというのは、「それと水だけで必要な栄養量が摂れる」というものですから、当然おやつなど他のものをあげる前提で必要量は計算されていません。

乾きもののおやつは水分が飛んでいるため、乾燥ジャーキーを一枚あげたら、量は少ないように見えますがそこそこの肉を食べていることになります。またクッキーやボーロなどのおやつは、フードで過剰になりがちな糖質に加え、更なる糖質をあげていることになります。

おやつのあげすぎも肥満に繋がる大きな理由ですよね。

②食べるごはんの内容について

フード(特にドライフード)は、多くのフードで糖質が過剰気味です。犬はある程度の糖質も必要ですが、猫は基本的に糖質を摂らなくても糖質以外のものから糖質を作りだせる生き物です。ですから糖質は少量であれば摂っても問題ありませんが、犬のようには糖質を必要とはしていません。

しかし、キャットフードには明らかに猫の生態にとって過剰な糖質が含まれていることが多いのが現状です。猫のボディーコンディションスコアでBSC3の理想体型の子は、私はなかなか見かけないですね・・。糖質はエネルギーとして使われますが、過剰分は中性脂肪として蓄積されるため、フードから体に必要以上の糖質を摂ってしまえばいわゆるお肉が余分についてしまうのは想像できるかと思います。

本来犬も猫も体に合った内容の食べものを食べていれば、そうそう肥満にはなりません。(もちろん多すぎれば肥満に繋がりますが)

食べる量だけでなく、食べるごはんの内容がどんな内容か、というところは犬もそうですが、特に猫にとっては肥満に繋がる大きな要素になります。

③代謝について

代謝とは、簡単に食べた栄養を分解したり再合成する過程のことです。よく使う「代謝が悪い」という言葉は、基礎代謝が低いことを指します。摂った栄養を利用しづらく、カロリーを消費しづらい体とも言えます。

代謝の良い体かそうでないかは、運動量だけでなく、普段のごはんから代謝に関わる重要な栄養素であるビタミンB群やマグネシウムなどが摂れているかも大切です。このビタミンB群もマグネシウムも主に肉・魚など動物性のものから摂ることが犬や猫の体には叶っています。良質な形態でこれらの栄養を摂取することで、代謝を回す体作りにも繋がります。良質な形態とは、食材をシンプルに調理し素材そのものからその素材が持つ栄養を摂れることがベストです。

④ホルモンバランスについて

避妊・去勢をすることにより、性ホルモンの分泌が制御されます。これによりホルモンバランスの崩れが起こり、「太りやすい」体に繋がることがよく起こります。犬も猫も子孫を残すことは本能です。

生殖器を取るということは、特定の疾病の発症リスクを軽減したり、人と共生する上でお互いに良い関係を築けることもありますが、本来必要であって付いていた体の部位を取るということには必ずデメリットは存在します。

避妊・去勢によって太りやすくなった場合は、それを選択した飼い主である私たちがしっかりと体重や食事管理をしてあげることは、飼い主としての務めでもありますよね。

肥満になると体の中では何が起こる?

肥満になると様々な病気のリスクが増します。それは人でも同じように、肥満になることで糖尿病、高血圧、脳梗塞、睡眠時無呼吸症候群、心筋梗塞を始めとする沢山の病気になりやすくなりますね。

犬や猫でも同じように、糖尿病、跛行(関節障害)、下部尿路疾患、肝リピドーシス(猫)、皮膚病などの病気のリスクが増します。

太っていると物理的に関節に負担がかかることは想像が付きやすいかと思いますが、様々な病気のリスクが上がるには理由があるのです。それが

「生理活性物質の存在」

です。生理活性物質とは、簡単にホルモンのような物質のことです。

脂肪組織は、単に脂肪をエネルギーとして貯蔵するだけではありません。脂肪細胞は様々な生理活性物質を分泌する「内分泌器官」としての働きもあります。内分泌器官とは、甲状腺や副腎などホルモンを分泌する器官のことを言います。

つまり、先ほどあげたように、脂肪組織から分泌される生理活性物質はホルモンのようなものであり、このホルモンのような物質が、白血球や細胞に作用することで、体にとって悪い働きを引き起こすのです。

簡単に表現すると、肥満の体では、「脂肪組織から体に悪い反応を引き起こす物質が分泌される」ということです。

太れば太るほど脂肪組織から分泌される生理活性物質が増え、その結果、各種の病気になると考えらます。脂肪を溜めると、体に悪影響なものを出してしまうがため、その影響を受けて通常では起こらないようなことが起こるのです。

例えば炎症反応物質がより出るようになり、ちょっとした刺激で皮膚炎になったり、尿路の感染で膀胱炎になったりすることがあるというわけです。

これが肥満になると体の中で起こりやすくなる現象です。

肥満になるとなぜ病気になりやすいか、ということが少しご理解いただけましたか?肥満による病気リスクのアップの裏側には、体の中で上記に書いたような作用が起こっているのです。このようなメカニズムが肥満による病気の背景にあるということなのです。

肥満にするかしないかは、私たち飼い主の飼い方によるところが大きいと思います。肥満にさせないために何ができるか、既に肥満になっている場合何が肥満の要素になっているか、考えるきっかけになればと思います。

次回はダイエットをさせるにはどうしたら良いかをお話ししたいと思います。

今日も最後までお読みくださりありがとうございました(o^―^o)