こんにちは。東京都町田市のトリマー兼犬猫ごはん講座講師の橋本なみです。バタバタとあっという間に毎日が過ぎて、ブログの更新が久々になってしまいました💦
今日は「栄養バランスへの心配」というテーマでごはんについてお話ししたいと思います。
講座を受講して下さる方は、既に手作りごはんを本や他の方のセミナーで勉強されている方も多くいらっしゃいます。既にご自身で勉強されているけれど、
「栄養バランスが摂れているが心配」
「フードと併用しないと不安」
「他のセミナーを受けたけどますます栄養バランスが摂れるか自信がなくなった」
という方もいらっしゃいます。
また、多くの方が
「手作りごはんは栄養バランスが崩れる」
「フードは総合栄養食だから栄養バランスが整っている」
というイメージを持たれています。
では、
どんなごはんなら栄養バランスが摂れる?
というところを考えてみてほしいなと思います。人であれば、主菜、副菜、主食、汁物と、タンパク質・野菜類・炭水化物もバランスよく摂ることができるごはんであれば、何となく栄養バランスを取れるように思いますね。
もっと分かりやすく、具体的なメニューの例を挙げてみたいと思います。
主菜:肉じゃが(豚肉、じゃがいも、にんじん、玉ねぎ、しらたき、)
副菜:ほうれん草のおひたし(ほうれん草)
汁物:味噌汁(わかめ、豆腐)
主食:(白米)
どうでしょうか、すごく栄養バランスが整っていると思いますね。では、「飽きる飽きない」は別として、このメニューを毎日食べ続ければずっと栄養バランスは保たれると思いますか?
きっとそうではないと思うのです。↑写真は違うものですが、もし上記に私が書いたにくじゃがのメニューであれば、栄養素的には、ビタミンD(魚や卵など)、ビタミンC(果物類)、カルシウム(魚類など)、鉄分(赤身の肉や魚など)、必須脂肪酸のω3などが不足してしまいます。
何が言いたいかと言うと、一食で完璧に栄養バランスを摂ることは、至難の業に近いことなのです。ですが、私たちは毎日同じものだけを食べ続けないこと、様々な食材を摂ることで、その食材に特化した栄養素を色んな形で摂っているのです。(偏食の場合は除きますが・・・)
飼い主様に広く利用されるフードは、「それと水だけあれば生きていける、必要な栄養素が摂れる」
とされる「総合栄養食」と言われる食品です。(正確にはフードは食品ではなっく「雑貨」扱いです)
それ(フード)だけを食べることを前提に作られているため、フードの中に何かの栄養の過剰や不足が生じていれば、それを長期に渡って食べ続けると体に不具合が生じる可能性があります。
だから、一食で過剰も不足も起こらないとされる定められた栄養バランスの「基準の数値をクリアしている」のが総合栄養食というわけです。
フードだけで栄養を摂る場合は、そうでなければいけません。その観点を手作りごはんに当てはめると、「栄養の不足」という心配が生じてきます。
一食で総合栄養食と言われるフードの栄養基準値を満たそうと思うと、肉、魚、内臓、貝類(牡蛎など)、野菜、果物、海藻類、炭水化物(芋、米など)など数多くの食材を一食で摂る必要があります。そうでないと、フードに定められた栄養基準を満たすことは難しいのです。
ここからが私が最も伝えたいことです。それは、犬や猫には
調整する能力
が備わっているということです。恒常性やホメオスタシスとも言いますが、体には常にバランスをとって正常な状態に保とうとする力が備わっています。それは栄養の過不足においても、調整する能力が備わっているということでもあります。
犬や猫は実際、雑食である人ほど幅広い食材・数多くの種類が入ったごはんというものは必要としていません。猫であれば動物性のタンパク質と脂質をメインとし、犬であればそれに加え野菜や穀物も食べられますが、犬にとっても体を作る基盤となるものは動物性タンパク質がメインです。(※犬は個体差が大きいですが今はそこは置いておきますね)
体にとって
①必要な肉類(魚)を必要最低限の調理(煮る、蒸す、生など)で摂り
②それにプラスαで必要最低限の必須食材を摂り
③毎日同じ量の同じ食材ではなく、ある程度の変化を付ける
ことで、体を作りエネルギーとなる栄養の基盤を築くことができるのです。
そして、「ある程度の過不足」があることもポイントであり、ある程度の過不足があることで、
●体はある栄養の過不足をホルモンで調整する
●ある栄養素が足りない時に違う栄養素が足りない栄養素の代わりに働く
●ある栄養素が体内で少ない時に、その栄養素が体内に入ってきた時に吸収率が上がる
という働きをしているのです。(詳しくは講座の中でお話ししています)
上記に書いたように、体にはこのような調整能力が備わっているのです。
「恒常性」というのはけして不調に傾いた体を正常に戻そうとするだけでなく、このように「食べたものの栄養をその時々に応じて必要な働きに回したり」、「不足分を補ったり」、「ホルモンで調整したり」する働きもあるのです。
それは、体に必要な栄養素の入った食材を「良質な形」で摂れるということは大前提にはありますが、そうやって「敢えて」ある程度の過不足があることで体というものは、怠けすぎずに調整能力を保つのです。(過度な過不足が続くようなことはもちろんよくありません。)
体というものは、あまり過保護になると本来持っている力が働かなくなります。極端な例ですが、ステロイドを使い続けると、本来体が作るはずのステロイドホルモンを作らなくなる、とか小さな子供に厚着をさせると体温調節能力が妨げられるように・・・。
そして、もう一つ伝えたいことは、
栄養素の数値が満たされていることと、体がどれだけ吸収・利用されるかは別
ということです。分かりやすい例を出すと、タンパク質は植物性よりも動物性のものの方が20~30%体への吸収率・利用率は上がります。また、フードに添加されるビタミンやミネラル、アミノ酸の種類によっては、それが何に由来しているかでも体への吸収率が下がったり逆に必要以上に吸収されるというものがあります。
ですから、フードで数値上は満たされた栄養素が、体が利用しやすいかどうかや、体に適度な量であるかどうかというところはまた切り離して考えなければいけません。
そのようなことが懸念されるのは、栄養基準を満たすために人工的な栄養操作が必要になるごはん(フード)が世の中にはまだまだ多いからです。
栄養バランスは、一日で摂るものではありません。
むしろ、一日で完璧に摂るよりも、昨日不足したものを今日摂る、今週ずっと摂っていたものを来週は控えて違うものにする、というようにある程度のスパンで栄養のバランスを考えることの方が、体の恒常性のシステムがしっかり働くのです。
そして、一食で完璧に栄養バランスを摂ろうという沢山の食材が入ったごはんよりも、ある程度のスパンで満遍なく様々な栄養を摂る、というスタンスのごはんの方が、実は体への負担が少ないということを、最近は飼い主様の話や愛犬さんの様子を見ても感じています。
「栄養バランスへの心配」
というテーマでお話ししましたが、すごーーーーーーくざっくりと話すと、それぞれの生き物の特性を無視することなく、食材自体から良質な栄養を摂ることができるごはんは、
「栄養基準値」という数値はあくまでも目安でしかなく、
数値という枠を超えてその子の体をサポートすることができるものだと考えています。
そして最後に、私が作るごはんはとてもシンプルです。なので、作ること自体はとても簡単です。
「このごはんで栄養不足にならない?」と実践された方も、愛犬を通じて体の変化を感じて下さっています。
なぜシンプルでも良いか、なぜシンプルが良いか、というところにも意味を持ってやっています。
そして私たち飼い主は、「あなたの体に負担なく、あなたの体に必要な食材を用意するから、それを食べてあとはあなた自身で栄養バランスを調整するんだよ」と、犬猫の調整能力に委ねるつもりでやってよいと思っています。
そのために最低限必要な知識を講座の中ではお話ししていますが、栄養バランスへの過度な心配は必要ないということも分かります。それは上記に書いてきたようなことがストンと腑に落ちるからなのですね。
そうやって自信をもって手作りごはんに挑戦される飼い主様が増えることをとても嬉しく思います。
以上、「栄養バランスへの心配について」でした。
今日も読んでくださりありがとうございました。
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